2014/10/29 ~コメについて思ったこと~

2014-10-29

今回は少々趣向を変えてお送りします。

この夏、私初めてお米を作りました。結果として、何とかそれなりの量を収穫することが出来ましたが、全ての作業を通して行った結果、改めて危機感というか恐怖感というか、そういうものを感じました。今回はそれについて記したいと思います。なお、今回の話はあくまで私の主観であり、また数字についても正確ではありません。ですが、それでも書かないとと思うほどのことである、とお考え下さい。

まず、皆さんはお米を幾らくらいでお買いになってるでしょうか。恐らく、10㎏2500~3000円くらいかと思います。一方、栽培した農家の方に入ってくるのは、10㎏1300円程度…というのは去年の話。今年は1000円を切るくらいの価格にまで下がりました(※JAへの卸価格)。一般の業界で、価格が1年で3割も下がるということはあるんでしょうか。ここにまず違和感。

更に、掛かる費用。今回、私が作ったお米は、最終的には約900㎏の収穫となりましたので、JAに全部卸したとすると約9万の収入となります。が、購入した苗が約4万、肥料が約3万、収穫後の乾燥で約3万と、実コストだけで10万掛かっています。つまり、JAに卸したら大赤字です。もちろん、私の労働単価等は一切含まれていません。(そもそも、苗はJAから購入しているのですが…。また、収穫の際にJAに刈り取りを依頼したら、それだけでプラス3万は請求されます。私は持っていませんが、トラクターの減価償却とかも入るとぞっとします。) 肥料や燃料費も、ここ5年ほどで高騰しています。経費が大きく上がっているのに収入が減る、これが今のコメ農家の現状です。

そういう状況を踏まえて私の周囲の農家さんを見渡しますと、多くの方が「自分達が食べれる分だけを作る」というスタンスになり始めています。作ったらその分持ち出すことになるんですから当然でしょうか。それでも作る理由は、「先祖伝来の土地だから」、「作らないと3年で田んぼが使えなくなる(木が生えたりして)」、「草を生やしていると周りに迷惑が掛かる」、というところです。もちろん、自分達が食べるコメは自分達で作ったものにしたい、ということもあるかとは思いますが。

まだまだ、TPP締結(の壁になっているコメの自由化)の話も消えた訳ではありません。もしアメリカのコメが入って来たら、どうなるんでしょうか。勿論、多くの日本人はアメリカ産のコメを食べることは無いと思います。ですが、安いアメリカ産のコメが店頭に並ぶ以上、いずれ国産のコメも安くせざるをえないでしょう。既に赤字なのに、もっと安く…。

私も今回、初めてお米を作って、如何に農家が虐げられているかということが少しだけ分かりました。ひょっとしたら、これからコメ農家はどんどん減っていくかもしれない、とも思いました。そうなったとき、国産の美味しいお米を食べ続けることが果たして出来るでしょうか。将来、国産のお米はお店で買えない、直接農家から買うしか無くなる、ということがあるかもしれません。そういう状況を、果たして政府は知っているんでしょうか。現場でしか分からないことというのはどの世界にもあることですが、皆さんが思っている以上にコメの現実は厳しいもののような気がします。

私も今は農家の端くれ、作付けを増やすことは多分可能です。ですが、作れば赤になる状況では、流石に手は出せません。こちらが損をしない値段でも定期的に購入して下さる方が大勢いらっしゃったら話は別ですが…(そのときはきっと10㎏5000円くらいになるんじゃないかと思います。)それでも良いから欲しい、という方はご連絡下さい。もちろん、まずは今年のコメで出来映えを味わってから決めるべきかと思いますが。と、さりげなく宣伝です!(^_^;)

以上、今回は日本のコメが危機的状況にあるということを書かせて頂きました。皆さんにも少し考えて頂きたいところかと思います。では、長文・乱文失礼致しました。<(_ _)>